2008年に、インドのTATA自動車から「NANO(ナノ)」という低価格車が発売されました。価格は10万ルピー。当時のレートで約20万円。
元々インドはバイク王国で、1台4万ルピー(今のレートで約8万円、以下全て現レート前提)のバイクに一家四人~五人が相乗りする、文字通りのファミリーバイクが主流でした(ちなみにヘルメットをかぶっているのはオヤジだけです。家族全員が死んでも自分だけは頭部を守る、そんな強い意志を感じます)。
当時一番安い車は、マルチスズキ(スズキ自動車とインドローカルメーカーの合弁会社)の「マルチ800」で、これが20万ルピー(36万円)。インドが少しずつ豊かになってきて、年収10万~20万ルピー程度のいわゆる「新中間層」が増えてきたことで、今までバイクだった世帯も車購入が視野に入るようになりました。その新中間層を狙って登場したのが10万ルピーカー「NANO」です。
誰もが「10万ルピーの車で利益が出るわけない」と思いましたが、徹底的なコストダウンの結果、ついに発売までこぎつけます。
主なスペックは下記の通り。
- 乗車定員:4人
- ボディタイプ:4ドアセダン
- エンジン:623cc 直列2気筒 SOHC
- 変速機:4速MT
- 駆動方式:RR
さらに、ニュースなどで話題になったのでご存知の方もおられると思いますが、
- 助手席側のバックミラーなし
- エアバッグなし
- ワイパーは1本
- バックドアのない4ドアセダン
- エアコンなし
という鬼畜仕様。インドみたいに気温が50℃近くまで上がる土地で、エアコンなしなんて…ゆであがっちゃう。
なお、「安全度外視、品質適当、コスト最優先」という日本のモノづくりでは到底考えられない目線で車を作った結果、衝突安全テストで粉々に砕け散って0点の評価を受けた模様。
私の会社でNANOを1台購入し、使われている鋼材を徹底的に品質調査したレポートを見ましたが、「こんな鋼材、怖くて使えない」というもののオンパレードでした。あんまり詳細は言えませんが、とにかく欠陥だらけ。欠陥って、つまりは亀裂みたいなものです。
インドの鋼材って、確かにバカみたいに安いのですが、その代わり品質がむちゃくちゃです。公称寸法なんてあってなきがごとし。100ミリH形鋼の実寸が、110ミリあった時には泣きたくなりました。溶接の品質も悪いです。
そんな低品質低価格カー「NANO」が、2015年にこっそりとモデルチェンジをしていました。しかも低価格カーという売りを捨てて、20万ルピー(36万円)に価格変更してます。助手席にもミラーを付けたりとか、ハッチバックになったりとか、少し進化しているようです。
いやーしかしインドの女性ってすごくきれいだよなー…めちゃつんつんしてて感じ悪いけど、それでもいいや、って思うわ。全く相手にされなかったけどね…泣